通譯案內士面試要領
面接の形式・チェックポイント
受験生1人に対して、試験官3名、面接時間は約5-6分となっています。3名の試験官は外国人(ネイティブ)試験官、現役通訳ガイド、人物考査担当で、ネイティブ試験官が主に質問をし、現役通訳ガイドが面接の初めに、簡単な挨拶程度の質問をすることが多いようです。
人物考査担当者は、服装やマナーなどについて、受験生が日本を紹介する通訳ガイドにふさわしいかどうか見極める役割を務めます。
チェックポイントになるのは、まず日本に関する幅広い知識を持ち、主要なトピックスに対して自分の意見をきちんと発表できるかどうかです。次に、発音や表現、文法などの言語面。服装やマナーなどに関しては、常識を大きく逸脱するものでなければ、特に問題にはなりませんが、通訳ガイドになるための試験ですから、当然、積極的な態度は評価の対象となります。
質問の内容
質問は主に下記の4ジャンルから出されます。質問の数は3-5問で、4ジャンルすべてにわたって聞かれることもあれば、時事的な話題にしぼって質問されることもあるようです。
1、個人的な質問
挨拶、自己紹介のあと、ウォーミングアップとして、住所や趣味、仕事などについて聞かれることがよくあります。海外旅行の経験や、通訳ガイドになったらお客様を案内してみたい場所など、旅行に関わることも、しばしば尋ねられます。ごく簡単な内容の質問ばかりですから、自分に関することは一通り答えられるよう、しっかりまとめておきましょう。
2、日本の社会問題に関する質問
最もひんぱんに聞かれ、また重要視されているのは、新聞等で論じられている時事的な社会問題です。政治、経済、社会など幅広いジャンルから出題されますが、ほとんどは注目度の高いトピックスであり、受験生の多くが予想し準備している範囲内のものです。「今、日本では何が話題になっているか」という視点で日頃からニュースを見つめていれば、対策をとるべき項目は見えてくるはず。どれも深い知識を問われるのではなく、「○○について、あなたはどう思いますか?」と意見を問うものなので、基礎的な知識を身につけ、事前に考えをまとめておけば、落ち着いて答えることが可能です。
3、日本の風俗や習慣についての質問
外国人の目に不思議に映る日本の風俗・習慣や制度などについて問われることもしばしばあります。試験では、答えにくい質問をされたときにどう対処するか、その適性を試している部分もあると思います。したがって「なぜ?」の答えがわからなくても、「私はよくわかりませんが、-ではないかと思います。」というふうに、お客様と話すつもりでコミュニケーションをとることが重要になります。
4、日本の伝統文化に関する質問
伝統芸能では「歌舞伎、能楽、文楽」、芸術では「華道、茶道」、スポーツでは「相撲、柔道、剣道」などについて問われます。身近な話題も多く、「寿司、刺身、すき焼き、しゃぶしゃぶ」などの食べ物や「着物、帯、下駄」など身につけるものについて聞かれることもあります。日本の伝統文化について説明するのは難しいですが、よく出される項目は決まっているので、傾向を知り、準備しておけばよいでしょう。
2次試験対策のポイント
出題されそうなトピックスについて、自分なりの意見を持ち、それをきちんと説明できるようにしておくことが成功のカギとなります。
正解はありません。きちんとした根拠を示しながら自分の意見を述べることができれば、それでよいのです。聞かれそうなトピックスに関しては、自分で問題集を作るなどして、練習を積み重ねてください。面接時間は5-6分ですから、ダラダラ話すのではなく、ひとつの質問に対して1分前後で答えられるようまとめることも大切です。
面接受験の心構え
よく知らないことを聞かれても「私はよく知りませんが、-と思う」というふうに誠実に答えれば、合格のチャンスは十分にあります。実際、通訳ガイドになれば、知識のないことを聞かれる場面もあるわけですから、そのときにどう対処するか、お客様と会話を楽しむことができるかということも、この試験では評価の対象になっています。知識がすべてではないことも、頭に入れておきましょう。質問の内容や意図がわからないときは、積極的に聞き返してかまいません。試験官は表現を変えて説明してくれるはずです。通訳ガイド試験は、就職試験と同じ。通訳ガイドという職を得るための試験ですから、やる気、積極性を十分に見せてください。感じよくふるまい、笑顔を絶やさないことも必要です。
取材自 通訳者・翻訳者になる本 2007 イカロス出版
2次試験(面接)の傾向と対策 富士通訳ガイドアカデミー代表 知念保則